感染性胃腸炎について
感染性胃腸炎とは、嘔吐や下痢を主訴とする細菌あるいはウイルスなどによる感染症の総称です。
1年中みられますが流行は冬季で、その原因はほとんどノロウイルス・ロタウイルス等のウイルスです。中でもノロウイルスは感染力が強く、集団感染がしばしば問題になります。
ノロウイルスによる胃腸炎の潜伏期間は24〜28時間で、吐き気・急激な嘔吐・下痢・腹痛が主症状で発熱・関節痛もみられます。
症状は強いですが通常2〜3日程度で治癒し、またインフルエンザと違い特別な治療法がないため、特殊な場合を除いては診断のための検査は行われません(検査が保険で認められているのは3歳以下と65歳以上だけです)。
腹痛止めや吐き気止めで様子をみることになりますが、下痢止めは悪いウイルスを体内にため込む原因になるので通常は使用されません。下痢で困るのは脱水になることで、水分を少量ずつ摂取するように勧めております。水分摂取ができないほど強い吐き気がある場合は、点滴が必要になることがあります。
ノロウイルスは、患者さんの便や吐物を介してヒトからヒトへうつりますので手洗いは重要です。
また便や吐物の跳ね返りが乾燥し、宙を舞ったものを吸い込むことでも感染しますので、この点も注意が必要です。患者さんが使用した後のトイレのふたを開けたまま流すとウイルスが高さ25cmまで飛散し、90分間漂い続けるという報告もありました。
その他の特徴は、食品中では増殖しない(ヒトの腸のみで増殖する)、消毒用アルコールでは殺菌できない(塩素濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム>ミルトン)、85℃で1分以上の加熱で死滅する等がある。